2成分混合系の誘電率と分散度との関係を知るために,ニトロベンゼンーヘキサン混合系が2相分離を起す温度付近において,誘電率の温度による変化を測定した。極性液体に関するOnsagerの式に基づいて,分子分散系の誘電率を与える関係式を誘導し,実測値と比較したが,理論値の方が実測値より少し大きい値を示した・臨界条件において混合系は白濁してエマルジョンの状態をとり,誘電率の温度依存性は幾分低下するが,Piekaraの報告したようないちじるしい変化は認められなかった。そしてこのエマルジョンの誘電率はBOttcherやBruggemanの理論式によく一致し,主として体積分率に支配され,したがって分散度にはあまり影響されないことを認めた。
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