日本化學會誌
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海洋に關する化學的研究(第十二報)
海水より由來する罐石の化學的研究II
石橋 雅義品川 睦明
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1942 年 63 巻 7 号 p. 781-785

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抄録

1. 前報1)に引續いて眞空式製鹽装置附着罐石3種(赤穗),平釜式製鹽蒸發釜附着罐石1種(赤穗),天然石膏(北支) 1種に就きて一般定性並びに定量分析を行ひ,更に之等に就き金の定量を行つた.又前報及び本報に掲げた試料全般に亘つてラデウム,銀の定量を行つた.
2. 成因を異にする之等3群の試料は,その一般分析結果より見れば各々の成分含有量は極めてよく類似してゐる.但し天然石膏にあつては弧光分光寫眞上他の試籵に比し鉛,燐,亞鉛のスペクトル線を示さざる點が異つてゐる.
3. ラヂウムの定量は溶液法によるラドン法にて行ひたる結果,凡て自然漏電よりも正の値を示し,罐石1g當り10-13g桁の數値を得た.尚ほ軍艦罐石(B),天日製鹽罐石(G, H)及び平釜製鹽罐石(M)に在りては他試料に比して大なる數値を得た.
4. 灰吹法により金,銀を分析せる結果,試料J-Nの金は罐石1t當り0.05~0.45gにして前報試料A-Hと同程度であつた.又銀はA-Nを通じて痕跡の程度であるが,只K, Lにあつては1t當り0.17, 0.23g銀なる有効數値を得た.殊に試料L即ち眞空式製鹽工程の初期に生成せる罐石に金,銀共に最高數値を得たるは注目に値するものと考へる.

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