リソールレッドはトビアス酸をジアゾ化しβ-ナフトールにカップルして得られる代表的なレーキ顔料の一つである。この顔料は合成条件のわずかな差異により結晶型,大きさ,および形態の非常に違った顔料が得られるが,合成条件と性質の関係についての報告はない。著者らはカップリング浴のpH,加熱温度,およびレーキ化条件を検討し,これらの条件が生成顔料の色調,結晶の形態,粒度に与える影響を調べた。得られた結果は次のとおりである。
1)pH11以上の条件下でカップリングにより得られた顔料ナトリウム塩の結晶は,カップリング浴中で80℃以上に加熱すると長い針状結晶に成長する。
2)pH10.5以下の条件でカップリングにより得られた顔料ナトリウム塩の結晶は浴中で加熱しても成長しない。
3)顔料ナトリウム塩をレーキ化する際,微細なレーキ顔料を得るためには微細なナトリウム塩を用いる必要がある。
4)微細な顔料ナトリウム塩の色は一般に深色であり,ブロンズ光沢を持つ。
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