工業化学雑誌
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ポリメチルメタクリレート成形品の異方性と吸湿効果
佐倉 武久
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1961 年 64 巻 5 号 p. 939-942

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抄録

線状高分子は射出成型時の流動に際し分子配向が起り,そのままで冷却し固態となると考えられる。これは射出成形品に明らかな異方性が示されていることによって推定される。この異方性を調べることにより配向の程度を知り,同時に成形品設計に際して必要な強度上の知識を得ることが出来る。この報告では分子量90,000程度のPMMAの板状射出成形品の引張破断強度,弾性率等を特に吸湿量との関係で調べ,異方性を明らかにした。その結果,吸湿によって引張破断強度,弾性率ともにほぼ直線的な低下が認められ,また流動の方向に平行方向は,これと直角方向にくらべ強度,弾性率ともに高く明瞭な異方性が認められた。また応力負荷速度は流動方向に直角方向の試料が平行方向の試料にくらべ,やや影響が大きいことが示され,これは緩和弾性率測定結果の方向性の差異から説明される。

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