工業化学雑誌
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n-ブチルチタネートポリマーの構造
塩沢 計信
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1961 年 64 巻 5 号 p. 885-888

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抄録

反応したモル比h(=H2O/Ti(OBu)4)が1以下の常法重合のn-ブチルチタネートポリマーの分子構造は現在なお明らかではない。これを解明するために,h≦1の種々のポリマーを合成し検討した。その結果は次のとおりである。
1)希薄溶液粘度はアインシュタイン式にしたがわず,その定数KhがOから1に近づくにつれ2.5に接近した。
また[η]=1.88×10-4Mn0.67(1)
式が成立した。2)平均分子量は,これらがn-ブチルチタネート(h=0)とその4環体(h=1)との混合物と考えたとき,化学量論的なポリマーの収量から計算される平均分子量と実測のそれはよく一致した。直鎖状,3環体,5環体等では合わない。
3)赤外線吸収スペクトルはh=0からh=1のポリマーになるにつれて,930cm-1から700cm-1付近の範囲においてのみ次第に変化しており,0<h<1のポリマーはn-ブチルチタネートとh=1のポリマーの混合物と考えて差支えない結果を得た。
以上の結果から,h<1のn-ブチルチタネートポリマーはおもにn-ブチルチタネートとその4環体の混合物であるこどを明らかにした。

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