工業化学雑誌
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急冷法によるフッ素金雲母-フッ化カリウム反応系の研究
中 重治萩原 真樹飯田 大雄野田 稲吉
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1961 年 64 巻 5 号 p. 860-865

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抄録

フッ素金雲母- フッ化カリウム系の生成鉱物の析出過程を明らかにするため, 急冷法によりフッ化カリウム分58wt%以下の範囲の組成の溶融体から常温までに生成する鉱物と液相の範囲を調べた。
フッ素金雲母-フッ化カリウム反応系の生成する鉱物の析出過程は,組成中に存在するMgF2-KF系の鉱物の生成量に著しく影響され, フッ化カリウム分が20~30wt% まではKF・MgF2の生成量は少なく, 初晶としてフッ素金雲母が析出し,KF・MgF2の析出量が最大となるフッ化カリウム分35.6wt%の組成および2KF・MgF2の生成をみるフッ化カリウム分35.6wt%以上の組成ではK2O・Al2O3・2SiO2とK2O・Al2O3・4SiO2の両者がまず析出する。K2O・Al2O3・2SiO2の析出量は高温度では多く,KF・MgF2の析出温度以下の低温度ではK2O・Al2O3・4SiO2の析出量を増すようである。またKF・MgF2の析出後K2O・MgO・SiO2およびβ-K2O・MgO・3SiO2が析出し,フッ化カリウム分が少ない35.6wt%以下ではK2O・MgO・SiO2とβ-K2O・MgO・3SiO2はほぼ同時に析出するようであるが, フッ化カリウム分が35.6wt%より多くなるとβ-K2O・MgO・3SiO2の析出量が少なくなり, K2O・MgO・SiO2の析出後β-K2O・MgO・3SiO2が析出することを認めた。

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