工業化学雑誌
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フッ化スルホニル基を有する反応性染料
丸山 雄士北尾 弟次郎小野 哲嗣黒木 宣彦小西 謙三
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1961 年 64 巻 2 号 p. 327-330

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抄録

繊維と共有結合により染色するいわゆる反応性染料の反応基としてフッ化スルホニル基を有する染料のうち,本報では分散染料,および新しい方法によって二,三の水溶性染料を合成し,種々の繊維に対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。
分散染料はフッ化スルホニル基を有するアミン類,およびp-ニトロアニリンをジアゾ化し,N,N-ジエチル-,N,N-ジオキシエチル-アニリンおよび3-フッ化スルホニル-N,N-ジエチルアニリンとカップリングして得た。これらの染料を用いて絹, ナイロン, ビニロン, アセテートを分散状で染色し, 希アルカリで処理して繊維と反応させた。また, テトラ-塩化スルホニル化した銅,コバルトフタロシアニンおよびアミノ基を有する水溶性染料を,前者はフッ化カリにより置換するか,またはp-フッ化スルホニルアニリンと,後者はp-フッ化スルホニル塩化ベンゾイルと縮合させてそれぞれフッ化スルホニル基を有する染料を合成し,絹,ナイロンを酢酸酸性でビスコースレーヨン,モメンを中性で染色した後,前と同様に希アルカリで処理して繊維と反応させた。繊維と反応しなかった染料はフッ化スルホニル基が加水分解を受けてスルホン酸基となっているため,水溶性を増し,ソーピングによって簡単に除去され堅ロウな染色物を得た。
一般にこれらの染料は含窒素繊維,とくに絹には非常によく反応固着されたが,セルロース繊維では少し劣った。これはその結合が不安定なエステル結合であり,固着やソーピング処理中において希アルカリによって徐々に分解されるためであろう。染料-繊維間の共有結合生成に対する証拠は既報と同様な方法で確かめた。

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