工業化学雑誌
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リーベカイト系石綿組成ガラスの加圧下における溶解量とその結晶析出状態
斎藤 肇権太 泰彦
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1959 年 62 巻 7 号 p. 926-928

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抄録

リーベカイト系石綿組成に相当する原料混合物(Na2O・3MgO・Fe2O3・8SiO2)を電気炉中で1300℃で完全に融解後,急冷してえられたガラスを80~100メッシュ間に粉砕した。これをオートクレーブでアルカリ溶液中で170~420℃,200~400atm間の種々の温度および圧力下に処理した。処理後,急冷したときの結晶析出状態を検鏡,析出結晶をX線回折および屈折率の測定などから検討し,またガラスの溶解量を定量してつぎの結果をえた。全般的に見て,水酸リーベカイト結晶の析出は310℃以上の温度において良好であり, また常に異種鉱物が若干析出するようであった。これから合成石綿母岩を水熱処理したとき,結晶中のフッ素イオンの一部が溶液中の水酸イオンで置換する以外に,溶液中より水酸石綿が別の相として析出する可能性があることがわかった。またガラスの溶解量の測定から, すでに著者によって提出した一般実験式がこの場合にも臨界温度以上において十分適用することができることを明らかにした。

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