2002 年 2002 巻 2 号 p. 169-173
印刷分野において発泡抑制剤として使用される,トリメリット酸無水物のマイクロカプセルトナーを,コアセルベーション法の一種である相分離(冷却造粒)法により作製した.冷却造粒法は樹脂溶解度の温度依存性を利用した相分離方法であり,マイクロカプセル壁の多層化を可能にした.前報2)で課題となっていたトナー帯電の不安定性は,しん物質であるトリメリット酸無水物と帯電制御剤(CCA)との反応に起因すると考えられていた.本研究では,材料面でCCAとして中性カルシウムペトロネートの選択,あるいは作製面でカプセル壁の多層化およびカプセルせん断力の緩和により,しん物質とCCAの反応を抑制することで,マイクロカプセルトナー帯電を安定化させた.本研究で作製されたマイクロカプセルトナーは,印刷分野で要求される発泡抑制性能基準を十分に満たしていた.
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