日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
固体高分子型燃料電池用炭化水素系電解質膜の耐久性
奥山 和雄西川 文茂
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1997 年 1997 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

ポリエチレソ膜に4-ビニルベソゼソスルポソ酸ナトリウム(SSS)とアクリル酸(AAc)を放射線グラフト重合させた固体電解質膜(AAc/SSS)を合成した.この膜を用いた燃料電池単セルの連続運転を行った.AAc/SSS膜が酸素極触媒に接している場合には55℃,5時間で出力電圧の急激な低下がみられた.酸素極触媒とAAc/SSS膜の間に酸素極に塗布したイオノマーが存在する場合には,55℃ で212時間発電できたが,温度を70℃ にすると71時間で発電できなくなった.さらに,酸素極触媒とAAc/SSS膜の間にイオノマーに加え11μm厚さのフッ素系電解質膜を配置した場合には70℃ で190時間まで発電できた.この結果より,AAc/SSS膜が酸素極触媒に接している場合には触媒上に生成した活性酸素あるいは過酸化水素またはその両方によって膜の劣化が起こり,また,触媒に接していない場合は,遊離してくる過酸化水素によって劣化が起こると推定した.

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