日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
機能性分子集合体を用いたアミノ酸エステル基質の不斉加水分解反応における分子認識効果
後藤 浩一上岡 龍一
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 1997 巻 2 号 p. 127-133

詳細
抄録

1本鎖および2本鎖界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアソモニウム=プロミド;CTAB,ジテトラデシルジメチルアソモニウム=プロミド;2C14Br)より構築される分子集合体に種々のヒスチジソ誘導体触媒を組み込んだ人工酵素によるフェニルアラニソ主ステル基質の不斉加水分解反応について検討した.まず,加水分解反応を速度論的に検討したところ,L体基質の加水分解に有効な触媒分子のアミノ酸配列が明らかとなり,さらに反応場環境を分子集合体の組成比とイオソ強度により最適化することで,極めて高い不斉選択性を発現した.また,最も高い選択性(エナソチオマー速度比L/D=1000)を示したN-ドデカノイル-DおよびL-フェニルアラニソのp-ニトロフェニルエステル(C12-D(L)-Phe-PNP)基質とN-ベソジルオキシカルボニル-L-フェニルアラニル-L-ヒスチジル-L-ロイシソ(Z-PheHis-Leu)触媒を半経験的分子軌道法計算(MOPAC計算)により解析したところ,基質一触媒間の水素結合や疎水性相互作用による多点分子認識が立体識別機能の発現に重要な役割を果していることが示唆された.

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top