日本化学会誌(化学と工業化学)
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けい砂をシリカ原料としたフッ素雲母の合成
嶋田 浩治小菅 勝典綱島 群
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1996 年 1996 巻 8 号 p. 695-699

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抄録

けい砂(α-石英)を出発シリカ原料としてフッ素雲母純粋相を合成するための固相反応条件を検討した。原料粉体の混合割合 SiO2:MgO:NaF:LiF=1.0:0.5:0.5:0.25(モル比)は Mg-雲母を合成するための最適混合比であり, 725,750℃ の時それぞれ 3 および 1 時間で純粋相が得られた。生成雲母はテニオライト組成を有する, 1Md 型で薄い板状の自形を呈し,層問に水単分子層を吸着する限定膨潤性を示す。さらに,α-石英が雲母合成原料として好適な理由を明らかにするため,数種類のシリカ原料を使用して雲母の生成過程を検討した。雲母の生成はクリストバライトあるいはα-石英とその他の原料物質との固相反応と考えられる。シリカ原料が始めから結晶質の場合,α-石英,クリストバライトなど結晶形態にかかわらず,多様な中間生成物を形成しながら徐々にその量は低減し,最終的にすべて雲母として固定される。また,クリストバライトやα-石英へ速やかに結晶化する非晶質シリカを出発原料とする場合には,上記の結晶質シリカ同様純粋栢が得られることになる。しかし,クリストバライトなどへの結晶化が長時間継続する非晶質シリカ原料ではクリストパライトあるいはα-石英が残留するため純粋相は合成できない。

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