日本化学会誌(化学と工業化学)
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酸化物半導体ヘテロ接触による一酸化炭素ガスの識別
中村 吉伸鶴谷 毅宮山 勝岡田 治河本 邦仁柳田 博明
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 477-483

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抄録

P型半遵体であるCuO,Nio焼結体とn型半導体であるZnOとを接触させてpnヘテロ接合(著者らはこれをpnヘテロ接触と呼ぶ)を作成し,接触面を通過する電流の可燃性ガス(CO,H2,C3H8など)の存在による変化を観測した。電流は可燃性ガスの存在により増大し,CuO/ZnO系のヘテロ接触を用いた場合は,温度260℃,印加電圧+0.5Vのとき,一酸化炭素(CO)ガスに対して高い感度を示し,水素(H2)ガスやプロパン(C3H6)ガスとの識別が可能となった。可燃性ガスが接触界面に作用すると,界面の容量増大,P型物質-n型物質問の電位差消失という現象が観測された。電流増大のメカニズムとして,これらの結果から,1)吸着酸素の脱離によるZnO表面のエネルギー障壁の低下。2)P型物質表面へのガスの化学吸着によって生じる界面準位を経由する電流輸送。の二つが推定され,実際にはこれらが同時進行しているものと思われる。後者の機構を考えることにより,特定ガスに対する高選択性ガスセンサーの構成の可能性が示唆された。

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