日本化学会誌(化学と工業化学)
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「タコ」形アザシクロファンの分子認識特性とクロマトグラフィーへの応用
村上 幸人菊池 純一松浦 猛夫
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 416-422

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抄録

種々の疎水性ゲスト分子に対してinduced-fit型の包接特性を示すホスト分子である,N,N',N'',N'''-テトラキス(10-カルボキシデシル)-2,11,20,29-テトラアザ[3.3.3.3]パラシクロファン-1,12,19,30-テトラオン(以下APC(C10CO2H)4と略記する)を,AF-アミノトヨバール650にアミド結合で導入したクロマトグラフィー用充填剤を調整した。溶離液としてメタノールと炭酸緩衝液(0.01mol.dm-3,pH 10.0,μ0.10(KCl))の混合溶媒を用い,均一水溶液中におけるAPC(C10CO2H)4の包接挙動が明らかにされている6種類の疎水性ゲスト分子の分離特性を明らかにした。AF-アミノトヨパール650のアミノ基をすべてアセチル化した充填剤と比較した場合に,APC(C10CO2H)4の包接特性を反映して静電相互作用と疎水性相互作用による新たな分離挙動が認められた。「タコ」形アザシクロファンをAPC(C10CO2H)4の構造形態で担体に直接導入するよりも,その炭化水素鎖末端の4個のカルポキシル基のうち3個をメチルエステルとして保護して樹脂に固定化することによって,より効果的な分離機能が発現された。

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