1987 年 1987 巻 11 号 p. 2194-2198
大きな多重膜リポソーム(LMLV)を,0.6μmの均一小孔を有するポリカーボネートフィルターを用いた一段階の再構成により,粒径の調整を行なった。フィルターにかける圧力は,せいぜい1気圧とした。単一のレシチンのLMLVの粒径調整は膜が液晶状態にあれば完全であった。レシチン混合系でも膜の一部が液晶状態であれば,粒径調整を行なうことができた。コレステロールの添加はゲル状態のレシチン膜の再構成を改善するが,液晶状態の膜に対し反対の効果をもつことがわかった,つぎに,凍結解凍法により色素やタンパク質をリポソームに内包させた。凍結解凍操作により生ずるLMLVをポリカーボネートフィルターにより粒径調整したが,内包物のもれはほとんど見られなかった。これらの結果から,膜の再構成はポリカーボネートフィルターの小孔中で,LMLVの液晶部分がひきちぎられる機構で起こると推定された。
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