日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
単体硫黄およびセレンとアセチレンジカルボン酸ジメチル,プロピオル酸メチル,およびベンザインとの反応
中山 重蔵柏木 幹文四方田 理恵星野 正松
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 1987 巻 7 号 p. 1424-1429

詳細
抄録

単体セレンとアセチレンジカルボシ酸ジメチルとを,沸騰o-ジクロロベンゼン中で反応させると2,3,4,5-セレノフヱンテトラカルボン酸テトラメチル(54%)が生成した。プロピオル酸メチルと単体硫黄とを,ベンゼンを溶媒とし,オートクレープ中,205~215℃に加熱すると2,4鱗および2,5-チオフェンジカルボン酸ジメチルが,1それぞれ,41,19%6収率で生成した。同条件下,プロピオル酸メチルとセレンとからは,2,4-および2,5-セレノフェンジカルボン酸ジメチルが,それぞれ,45,30%の収率で得られた。ジフェニルヨードニオ-2-カルボキシラートの沸騰o-ジクロロベンゼン中での熱分解により発生させたベンザインは,単体硫黄との反応では,チアントレン(5%)とベンゾペンタチエピン(6%)を,単体セレンとの反応では,セレナントレン(26%)を与えた。以上の反応につき,まず,1,2-dithiete(1,2-diselenete)が生成し,これが開環後,アセチレン類と厚応して,1,4-dithiin(1,4-diselenin)を与え,これらが反応条件下において不安定な場合には,さらに脱硫(脱セレン)して,最終生成物であるチオフェン(セレノフェン)を与える機構を提出する。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top