日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
スルホン酸ナトリウム水溶液中の2Hと23Naの核磁気緩和
上平 恒上平 初穂
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 1986 巻 10 号 p. 1265-1269

詳細
抄録

C6H5SO3NaとP-CH3C6H4SO3Na,m-C6H4(SO3Na)2,1,3,6-C10H5(SO3Na)3,CH3SO3K,C2H5SO3・Na,1,2-(CH2)2(SO3Na)2,1,4-(CH2)4(SO3Na)2重水溶液中の2Hと23Naのスピン-格子緩和時間を25℃ で測定した。スルホン酸イオンのまわりの水分子の配位数と回転の相関時間を求めた。C2H5SO3-イオンに対する回転の相関時間がもっとも大きく,τc-c0=1.66であり,1,3,6-C10H5(SO3-)3イオンに対する値が最小でτc-c0=1.08であった。これらの結果から,スルホナト基は構造破壊効果をもっており,芳香環は疎水性水和をしていることが示される。C6H5SO3Naと1,4-(CH2)4(SO3Na)2,1,2-(CH2)2(SO3Na)2水溶液中の23Naの緩和速度はこの順番に小さく,1-1電解質と同じような挙動を示した。m-C6H4(SO3Na)2と1,3,6-C10H5(SO3Na)3溶液中の23Naの緩和挙動から,これらのスルホン酸イオンのτc-c0の値は小さく,かつ配位数が大きいので,これら2種のスルホン酸塩はイオン対を形成していると考えられる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
次の記事
feedback
Top