日本化学会誌(化学と工業化学)
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フタロシアニン錯体の電子イオン化質量分析
伊佐 公男笹木 健次村野 泉福井 一俊水田 啓子
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1985 年 1985 巻 3 号 p. 615-624

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抄録

フタロシアニン錯体の電子イオン化質量分析(EI-MS)測定を行なった,AICI(pc)(pcはフタロシアニン, C32H16N8 を表わす)の測定を行なつたところ,(AIC(pc)+(Cl~H))+(ここで(Cl~H)は水素と塩素との置換を表わす)のようなハロゲン置換擬分子イオンが検出された。このイオンの生成メカニズムを追求するため,塩素が過剰に存在する条件として,AIC1(pc)と K2PtCl6 との混合物の EI-MS の測定を行なったところ,(AICl(pc)+n(Cl~H))+n=0~16 の種々のハロゲン置換擬分子イオンが多数検出された。また,ハロゲン,炭素などの同位体による効果のスペクトルの詳細な検討の結果,上記の化合物イオソの生成が確認された。ほかに21種類のフタロシアニン錯体の EI-MS 測定,および K2PtCl6 との混合物の EI-MS 測定を行なった。 Pb(pc) の場合には, Pt(pc) の生成が確認され,金属置換反応が起こることが判明した。また, Mn,Fe,Zn の場合,金属のハロゲン化によって塩素1原子が反応すること,また, Pt,Sn,Pb の各系で,金属のハロゲン化によって 2 原子の塩素が反応することが判明した。さらに金属のハロゲン化とブタ覆シアニンの水素との置換の塩素の総数は,
VO(2),H2(3),Mn(4),TiO(5),Ni(9),Pt(11),Co(16),Cu(16),AlCl(16),GaCl(16),InCl(16),SiCl2(16),GeCl2(16),SnCl2(m),ZrCl2(16),Fe(17),Zn(17),Sn(18),Pb(18)
のような結果をそれぞれ得た。

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