日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
k-カラギーナン固定化 Pseudomonas dacunhae 菌体によるL-アラニンの連続製造
高松 智土佐 哲也千畑 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 1983 巻 9 号 p. 1369-1376

詳細
抄録

著者らは,Pseudomonas dacunhae 菌体のもつL-アスパラギン酸β-脱炭酸酵素の作用によって,レアスパラギン酸からL-アラニンを効率よく連続製造することを目的として,その目的に適した固定化微生物の調製法について研究を行なっている。今回は,本酵素活性が高く,さらに連続酵素反応時の安定性がすぐれた固定化P. dacunhae 菌体を調製するため,k-カラギーナンを用いて固定化する前にグルタルアルデヒドで処理する方法について検討した。その結果,つぎの方法がもっともすぐれていることがわかった。すなわち,固定化する前にあらかじめP. dacunhae 菌体を培養終了液中,30℃,pH4.75に1時間放置(以下,低pH処理と称す)し,さらに10℃,pH6,5mmol・dm-3グルタルアルデヒドで10~60分間処理する。その後,k-カラギーナンで固定化することによって,既報の固定化後にグルタルアルデヒド処理する方法よりも酵素活性およびその安定性ともにすぐれた標品を調製することができた。この低pH処理は,本来アラニンラセマーゼ活性を除去するための操作であるが,今回の検討によってL-アスパラギン酸垂β-脱炭酸酵素活性の安定化にも役立っていることがわかった。その理由は,P. dacunhae 菌体がもつタンパク質分解酵素のようなL-アスパラギン酸β^脱炭酸酵素を失活さぜる酵素が低pH処理によって失活,除去されるものと思われる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top