日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルミナ-クロミア系固溶体の焼結性と機械的性質
篠崎 和夫植松 敬三水谷 惟恭加藤 誠軌
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1981 年 1981 巻 4 号 p. 509-515

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抄録

種々の組成の酸化アルレミニウム(アルミナ)-酸化クロム(III)(クロミア)系固溶体を,低酸素分圧下および空気中で,1400~1700℃の温度に種々の時間焼成した試料について,相対密度および曲げ強度の測定を行なった。実験はクロミアの蒸気圧を抑制した条件,すなわち低酸素分圧(P02=10-11atm)下および蒸気圧の大きな条件(空気中)下で行なった。その結果,いずれの雰囲気下でもクロミアを少量固溶(5mo1%)した試料は純粋なアルミナにくらべて焼結性がいちじるしく低下する現象が認められた。一方,クロミアを大量に固溶(10~50mol%)した試料は雰囲気によって異なる挙動を示し,低酸素分圧下ではクロミア濃度に依存して焼結性が向上した。空気中で1500および1600℃の処理でほクロミア濃度が増すと焼結が阻害されたが,1700℃では焼結速度は全体的に速くなった。焼結体め曲げ強度と気孔率との間にはDuckworthの関係が成立し,空気中の焼結体では気孔率と曲げ強度の問に組成依存性が見られ,気孔率に外挿したときの強度を比較するとクロミア20mol%の試料が最大強度を示した。

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