日本化学会誌(化学と工業化学)
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ニリン酸ジルコニウムと炭酸カルシウムとの反応
木下 真喜雄井上 誠
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1980 年 1980 巻 8 号 p. 1219-1223

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抄録

ニリン酸ジルコニウムとアルカリ土類酸化物との固体状態における一連反応のうち,ZrP2O7とCaOとの反応および生成物について検討した。CaCO3濃度1O~9Omol%の種々の混合試料での定温反応(13OO℃,24h)および5Omol%混合試料での昇温過程の反応を行ない,これら反応における生成物および相変化を粉末X線回折や示差熱分析,IRスペクトル測定,化学分析によって調べた。定温反応においては,2種の複リン酸塩CaZr4(PO4)6およびCaZr(PO4)2がCaCO3O~65および33.3~75mol%の範囲でそれぞれ生成した。このほかの生成物はα-Ca3(PO4)2,β -Ca3(PO4)2,ZrO2(単斜および正方晶),CaZrO3およびCaO-P2O5 2成分無定形相であった。CaZr4(PO4)6の生成において,CaCO3 4Omol%以下の濃度ではCaO-P2O5無定形相がともに生成した。また,ここで生成したCaZr・(PO4)2は従来の報告のものと異なる新しい結晶栢であった。この系の主要な反応は最終的につぎの式のように表わすことができる。
1)4ZrP2O7+4CaCO3→CaZr4(PO4)6+Ca3(PO4)2+4CO2
2)CaZr4(PO4)6+Cas(PO4)2→4CaZr(PO4)2
3)ZrP2O7+3CaCO3→Ca3(PO4)2+ZrO2+3CO2
4)ZrP2O7+4CaCO3→Ca3(POa)2+CaZrO3+4CO2

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