1978 年 1978 巻 3 号 p. 447-455
気相のNO分圧と液相のFe(II)(NO)-edta濃度との気液平衡線図を作成した。この線図には温度依存性が認められ,45~55℃ではNOの吸収,100℃前後ではNOの放散が可能になり,またニトロシル錯体生成の反応熱ΔH0=-14.1kca1/mo1と算出された,濡れ壁塔によりNOの吸収速度およびFe(H)-edtaの酸素酸化速度を測定した。温度50±3℃においてFe(II)-edta濃度0.08~O.34kg-mol/m3の水溶液に対するNO濃度100~200PPmのガス吸収は,ガス基準Reynolds数(Re)G=1000~3000,液流量2.0~3.7l/hrのとき,次式
KG=0.068GM0.5
KG:NOの気相基準の総括物質移動係数(kg-mol/m2・hr・atm),GM:ガスの空塔モル速度(kg-mol/m2・hr)にまとめられ,この条件下でのNO吸収の律速過程はガス側境膜にあることを認めた。Fe(II)-edtaの酸化速度は,次式
Co0.3-C0.3=10.3Po3ZLM-2/3
Co:塔入口の〔Fe(ll)-edta〕+〔Fe(ll)(No)-edta〕(kg-mol/m3),
C:塔出口の〔Fe(ll)-edta〕+〔Fe(ll)(NO)-edta〕(kg-mol/m3),
PO2:酸素分圧(atm),Z:塔高(m),LM:液のモル速度(kg-mol/m2・hr)
にまとめられ,この酸化の律速過程はガス側境膜に存在せず,液側境膜または反応に存在することを認めた。吸収塔に大型の棚段塔を用いて燃焼排ガスとFe-edta水溶液とを向流接触させ,各段液組成を分析して塔上段部でFe(II)-edtaによるNOの吸収,塔下段部でFe(III)(OH)-edtaによるSO2の吸収を認めた。
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