1976 年 1976 巻 3 号 p. 518-522
ビスコースレーヨン工場排水から亜鉛の回収,除去を目的として,ポリエチレンポリアミン基を有するMR型キレート樹脂(RSTおよびRMT)によるZn2+の吸着および溶離について検討した。比較のために市販のキレート樹脂ダイヤイオンCR10およびダイヤイオンPK212を使用した。研究に使用した紡糸排水の組成はpH1.35,Zn2+ 726mg/l, Ca2+, Mg2+, 55mg/l(Ca2+ として),SO42 35.9g/l,総塩分43.6g/l,有機物 8.99g/l であった。カチオン交換樹脂PK212はレーヨン排水からはほとんどZn2+に対し選択吸着性を示さず,キレート樹脂CR10は良好なZn2+吸着性を示すが,Ca2+もまた吸着するために,溶離液中にCa2+ の混入がみられ,さらに吸着,溶離再生の間に樹脂層の膨潤,収縮がいちじるしいことが認められた。キレート樹脂RSTはZn2+こ対し,非常に良好な選択吸着性を示し,Zn2+濃度400~700mg/lの排水をpH6.0~6.5において空間速度15で通液した場合の漏出容量は13~16gZn2+/l-Rであった。吸着したZn2+は2N硫酸を通液することにより100%溶離でき,溶離液は硫酸亜鉛濃度として10~15g/lとなり紡糸液として使用できる。また吸着,溶離,再生のリサイクルも完全になり立つことが明らかになった。
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