日本化学会誌(化学と工業化学)
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エオシンY2-イオンの吸収スペクトルにおよぽすイオン静電場の影響 -Hückel MO 摂動法による静電シフトの計算-
平野 康一
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1976 年 1976 巻 3 号 p. 361-365

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抄録

近い位置にある電荷Z,6のつくる電場により,有機色素イオンの長波長側吸収帯に現われる波数シフト〓をHückel MO摂動法-電荷密度近似により計算し(1)式を得た。
ここに,ρλ0 ρλHOMO,LUMOは原子λ の基底および励起状態におけるπ 電子密度,2ρλHOMO→LUMO,2ρλHOMO→bは電子遷移(HOMO→LUMO),(LUMO→ b)に対する原子λ上での遷移電荷,εHOMO0b0は最高被占軌道およびか空軌道の0次の軌道エネルギー,Rs,Rλは電荷Zse,原子λ の位置ベクトルである。つぎに(1)式を用い,本文図3のモデルにしたがってエオシンY2-が弱い静電場のもとに置かれたときに現われる波数シフトをいくつかの(Rs-Rλ)について計算した。その結果,イオンの近傍2≦(Rs-Rλ)≦4Åに話をかぎれば,正電荷Zseをイオンに対しいずれの位置においてもブルーシフトがみられること。とくにいちじるしいシフトが見られるのは電荷をキサンテン環あるいはそれに結合する酸素原子の方向に置いたときであり,電荷をベンゼン環側あるいはカルボキシル基側に置いたときにはそれほどシフトしないことが明らかになった。

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