3種のオクトパス化合物[4],[5],[6]を合成し,これらの水中における種々の置換反応(式(1)と(2))におよぼす相間移動触媒効果について検討を行なった。
式(1)で示したハロゲン化アルキルとシアン化カリウムとの反応では,いずれの反応系でも比較的緩やかな条件下(25℃または50℃)で,約10%のオクトパス化合物を加えることによって相当するシアン化物を高収率で得ることができた。また[5]は[4]にくらべて大きな触媒効果をもつことがわかった。[6]も[5]とほとんど同じ触媒効果をもつが,1-プロモオクタンや臭化ベンジルにおける反応では[6]の触媒効果はみられなかった。
また,式(2)で示したハロゲン化アルキルのハロゲン交換反応においても,約10%の[5]を添加することによって反応生成物の収率がいちじるしく増加した。
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