日本化学会誌(化学と工業化学)
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酸化チタン(IV)の固体酸性におよぼす硫酸イオンの添加効果
黒崎 章人岡崎 進
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1976 年 1976 巻 12 号 p. 1816-1821

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抄録

酸化チタン(IV)中に含有された硫酸イオンの固体酸性への効果について,2-プロパノールの脱水反応を用いて検討した。
添加した硫酸アンモニウム水溶液中の硫酸イオンはチタン酸ゲル中に選択的に含有され,加熱焼成にさいし,酸化チタン(IV)の結晶化を阻害し,比表面積を増大させるとともに表面酸性を発現させた。また,高濃度(302wt%),の硫酸アンモニウム水溶液中で調製した酸化チタン(IV)において,単位表面積あたりの酸量(mmolm2)はとくに大きな偉を示し,低濃度側との活性化モネルギーの差が約5~6kcal/molあることから,表面積を増加させるばかりでなく,酸化チタン(W)表面において,直接的に酸点の発現にも寄与している可能性が示唆された。
IR吸収スペクトルによって,酸化チタン(IV)表面付近に拡散した硫酸イオンの存形態の解明を試み,その表面状態を推定した。また,ピリジン吸着のIR吸収スペクトルから,硫酸イオン添加の酸化チタン(IV)表面にはLewis酸点とBronsted酸点の両者が存在し,水蒸気の添加により,Lewis酸点からBr6nsted酸点への転化が容易に起こることを認めた。

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