日本化学会誌(化学と工業化学)
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X線回折法によるマグネシウム・亜鉛含有β-ユークリプタイト固溶体の分析
岩附 正明深沢 力
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1976 年 1976 巻 10 号 p. 1569-1574

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抄録

低膨脹結晶化ガラスなどに含まれるマグネシウム,亜鉛含有β-ユークリプタイト固溶体(SiO2-Mg1/2AlO2-Zn1/2AlO2-LiAlO2の擬4成分系)の分析法を研究した。SiO265~80mol%,Zn1/2~10mol%,Zn1/2AlO20~10mol%(残部LiAlO2)の範囲の固溶体標準試料を高純度試薬を用いてガラス結晶化法により合成し,リチウム濃度をチェヅクした。固溶体の212および206回折線の回折角を回折図形の重心から求め,系統的誤差を補正したのち,格子定数α0およびc0を計算した。さらに,100回折線と200回折線の強度比I100/I200をピーク高さと半値幅の積から求めた。その結果,a0,c0およびI100/I2100はそれぞれSiO2,Mg1/2AlO2およびZn1/2AlO2濃度によって大きく変わることがわかった。a0,c0およびI100/I2100と組成との間の3次元的関係から,未知試料中の固溶体組成を求めるための三つの方法を提案した。これらの方法により市販結晶化ガラス中の固溶体の組成を決定できた。1回の測定値を用いる場合の定量精度は0.2~0.6mol%,分析所要時間は約1時間であった。

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