日本化学会誌(化学と工業化学)
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ガスクロマトグラフィーによる精製ナフタレン中の微量不純物の定量
丸山 正生掛本 道子
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1976 年 1976 巻 9 号 p. 1430-1435

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抄録

PEG20Mを固定相に用いたガスクロマトグラフ法により市販の試薬ナフタレン中の微量不純物の検索,定量を試みた。ナフタレン中に比較的多量に含まれている不純物としてベンゾ[b]チオフェン,2-メチルナフタレンが水素炎イオン化検出器で直接検出された。ベンゾ[b]チオフェン含量が微量の場合は炎光光度型検出器を用いたガスクロマトグラフ法により1ppmまで直接検出できた。直接検出されない極微量の不純物は帯融法による濃縮後ガスクロマトグラフィー質量分析法によりさらにインダン,インデン,テトラリン,1-メチルインデン,1-メチルナフタレン,2-メチルベンゾ[b]チオフェン,キノリン,2,6-ジメチルナフタレン,ビフェニルの9成分が同定された。
市販の特級ナフタレンには約0.5%の不純物が含まれており,これらを帯融法,再結晶法により精製した。高速帯融法の条件について検討したところ試料管のかきまぜ速度が125Hzの場合,かきまぜの反転時間0.4秒,移動速度60cm/hr,移動回数20回で迅速に精製できた。不純物濃度の高いナフタレンの精製は再結晶したのち帯融精製した場合,効率がよかった。

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