日本化学会誌(化学と工業化学)
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硫化モリブデナ-アルミナ触媒によるクメンの水素化脱アルキル反応およびイソプロピルシクロヘキサンの転換反応の速度論的研究
三木 康朗山田谷 正子加部 利明大場 昌明
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1975 年 1975 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

硫化水素処理したモリブデナ-アルミナ触媒を用いクメンおよびイソプロピルシクロヘキサンの反応を水素圧10~200atm,温度350~450℃の範囲で行なった。クメンはおもに水素化脱アルキル反応によリプロパンとべンゼンに分解したが,イソプロピルシクロヘキサンはC9-ナフテン類,クメンおよびC9-芳香族異性体に転換した。それらの反応の速度論的研究から,クメンの水素化脱アルキル反応速度Vdおよびイツプロピルシクロヘキサンの転換速度Vtはそれぞれつぎの式で与えられた。
vd=k[KcPc/(1+KBPB+KcPc+K1P1/KH√PH)][KH√PH/(1+KH√PH)]
v1=k'[K1'P1(KH√PH)/(1+ K1'P1/KH√PH)][1/(1+KH√PH)]
ここで,kおよびk'は速度定数,PB,Pc,P1,PHはそれぞれベンゼン,クメン,イソプロピルシクロヘキサン,水素の圧力,KB,Kc,K1(KI'),KHはそれぞれペンゼン,クメン,イソプロピルシクロヘキサン,水素の吸着平衡定数を表わす。Vdの式から求めた400℃におけるKB,Kc,KIおよびKHの値はそれぞれ0.82,1.92,1.58atm-1および0.10atm-0.5であったが,vtの式から求めたK1'の値はK1よりいちじるしく低く0.07atm-1であった。これらの結果から二つの反応に有効な活性点が異なっていることが示唆された。

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