日本化学会誌(化学と工業化学)
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硫酸カリウム結晶の熱発光現象
坂口 雅一平林 孝圀望月 通晴桜井 秀雄
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1975 年 1975 巻 9 号 p. 1458-1461

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抄録

硫酸カリウム結晶に硫酸タリウムを種々の割合に配合した試料,ならびにそれらをヘリウム,酸素水素あるいは真空の各雰囲気中,450~1000。Cで1時間焼成した試料をそれぞれ調製し,それら各試料に9。Sr線源を照射したのち,そのグロー曲線を熱発光線量測定装置を用いて測定した。
熱発光強度はタリウム配合量1rnol%近辺で極大に達した。その強度は,ヘリウム中で焼成したさい,温度の上昇とともに減少し,焼成後の結晶表面層には細孔およびクラックの発生が認められたことから,それらの生成により発光中心が破壊されると推定した。また,酸素中で焼成すると,拡散した酸素による捕獲中心が形成されるために,熱発光強度が増大した。他方,水素中では試料が黒化し,熱発光現象を示さなくなった。さらに,硫酸カリウムに硫酸ナトリウムを30mol%固=溶化した混晶を用いた場合,熱発光強度がいちじるしく大きいことを見いだし,これを体積補償の原理に基づき考察した。

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