日本化学会誌(化学と工業化学)
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アセトアルデヒドの常圧液相酸化による過酢酸合成における反応諸因子の影響
松崎 武彦今村 寿一
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1975 年 1975 巻 8 号 p. 1377-1382

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抄録

アセトアルデヒド(AcH)の常圧液相酸化を20℃で行ない,過酢酸および過酸化物生成に対する反応諸因子の影響を調べた。
AcH初濃度を変化させ,それぞれの初期酸素吸収速度から無触媒時における反応速度は,AcH濃度に対し,アセトン,酢酸エチル,ベンゼン,酢酸を溶媒とした場合,それぞれ1.45,1.0,1.14,1.42次であったが,過酢酸などの収率は溶媒の種類や触媒の有無に関係なく,AcH初濃度75g/l付近で最大であった。溶媒のうちでは,触媒の有無にかかわらずアセトンと酢酸エチルを用いた場合にもっとも好結果が得られ,トルエンなど多くの溶媒使用時に無触媒では反応は進行しなかったが,触媒を添加するといずれも誘導期なしに反応は進行した。一般的に過酢酸などの収率は反応速度を大きくする溶媒を用いるほど大きかった。
触媒量の影響はMn,Co,Feについてアセチルアセトナト錯体を用いて調べ,Mnは微量添加しても生成物を分解させるが,CoではO.1g/l,Feでは0.005~O.015g/l程度添加したときに過酢酸などの収率は最大となった。そのほか,いくつかのCoおよびFe塩について触媒能を調べ,いずれもそれぞれの金属特有の高い過酸生成能が得られた。

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