日本化学会誌(化学と工業化学)
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NMRによるアンモニアレソールの生成機構の検討
堀田 久志林 敏彦
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1974 年 1974 巻 6 号 p. 1143-1147

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抄録

著者らは前報までに,キシレノール類,クレゾール類を原料とするアンモニアレソールの生成状況について検討してきた。本報ではそのデータをもとに,含窒素化合物の生成およびメチロール化の機構について考察した。その結果,アンモニア触媒では反応の第一生成物は,反応条件によって多少は異なるが,主として第三級ベンジルアミンであると考えられるにいたった。この初期に生成する第三級ベンジルアミンは,次第に第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物に変化してゆき,これがフェノール類のメチロール化を促進すると考えられる。これは第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物がメチロール化を促進するという井本の推論を支持するものである。なお第一級ベンジルアミンは,反応のどの過程においてもまったく確認することができなかった。一方,2,6-キシレノールのようにパラ位結合しか生じえない場合には,その第三級ベンジルアミンがその構造のまま,反応の触媒作用を示すものと考えられる。このとき,キシレノールとホルムアルデヒドの反応はいちじるしく速いが,これは第二級ベンジルアミンのオキサジン環化合物と,第三級ベンジルアミンとの反応系中における,その化学構造の安定牲の差に起因するものと考えた。

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