日本化学会誌(化学と工業化学)
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α-およびγ-3,4,5,6-テトラクロロシクロヘキセンの光塩素化 ―1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン異性体生成量におよぼず温度,溶媒の影響―
篠田 喜一
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1973 年 1973 巻 5 号 p. 978-982

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抄録

ベンゼンの光塩素化により,1, 2,3,4, 5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)を得るさい,塩化メチレソ,1, 2-二塩化エタン,無水酢酸などの溶媒を共存させると,BHC含量が上昇することが知られている。この反応の中間体であるおよび3, 4, 5, 6テトラクロロシクヘキセン(BTC)光塩素化を,これら溶媒中一,50~+40"で行ない,生成BHC異性体量におよぼす影響について検討した。脂肪族炭化水素中の反応で,この量への温度の影響は少なかった。塩化メチレン,1,2二塩化エタン中で,BTCからBHCの生成は約10%増加した。BTCの塩化メチレン中の塩素化におけるBHC異性体生成比は,四塩化炭素中の場合と大差を示さなかった,無水酢酸中,30℃でのBTCの光塩素化では,BHC生成は約15%増加した。以上のことから,ベソゼソの光塩素化における添加溶媒の効果は,BTCからBHCの生成量を増加させることに主因があるのではなく,evまたはBTC,とくに,BTCの生成量を増加させることに起因するのではないかと考えられる。

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