1973 年 1973 巻 6 号 p. 1226-1233
工業的に重要な気-液反応であるWackerプロセスによるプロピレンの液相酸化反応は,速い可逆反応をともなう逐次反応である。この逐次反応を解析するため,平面接触カキマゼ槽を用いて,温度25~45℃において拡散律速の領域で実験を行ない,実験結果を反応吸収理論を用いて解析した。まず,カルボニル化反応と塩化銅(II)による触媒再生反応のいずれが律速であるかを調べるため,塩化銅(II)濃度を広範囲に変化させてプロピレンの反応吸収速度を測定した。その結果,カルボニル化反応が律速であることがわかった。つぎに,プロピレンの反応吸収速度を擬m次反応吸収理論を用いて解析した結果,初期カルボニル化反応の総括反応次数は,プロピレンおよび塩化パラジウムに対しそれぞれ1次,塩化物イオンに対しマイナス1次,水素イオンに対し0次であった。そこでさらにプロピレンの反応吸収速度を逐次可逆反応吸収理論を用いて解析し,各反応の速度定数を算出した。また,総括反応次数およびプロピレンの反応吸収速度の経時変化からカルボニル化反応の反応機構について考察を行なった。
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