日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
液体アンモニアのγ線分解
作本 彰久
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 1972 巻 9 号 p. 1591-1596

詳細
抄録

液体アンモニアをγ線で照射するときに生成するヒドラジン,水素および窒素に対する照射温度,線量率および添加物としてのアセトン,硝酸イオン,一酸化二窒素および水の効果について研究した。照射温度が30℃のとき,生成物のG値はG(N2H4)=0.12,G(H2)=0.82およびG(N2)=0.21であった。そして吸収線量が約8×1010eV/g以上になるとヒドラジンは一定の濃度5.6×107mol/NH3molを示した。照射温度が-50℃のとき,これらのG値はG(N2H4)=0.19,G(H2)=0.76,G(N2)=0.18となり,またヒドラジンの濃度も吸収線量が9×1020eV/g程度以上になると1.1×10-5mol/NH3molを示すようになった。
吸収線量が比較的大きいとき,ヒドラジンの生成速度には線量率依存性が認められるけれども水素および窒素の生成速度には認められなかった。
照射温度が-196℃の場合,これらのG値は減少してG(N2H4)=0.08,G(H2)=0.2およびG(N2)=0.04となり,またアンモニアの分解のG値も0.24に減少した。
液体アンモニアに一酸化二窒素を添加する場合,ヒドラジンの生成量は減少する。これは一酸化二窒素がNH2と反応するためと推論された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top