2019 年 65 巻 1 号 p. 10-16
スピリチュアリティや宗教性と健康の関連性についてはこれまでに多くの報告がなされている。来世信念は宗教性を構成する概念の1つで,世界の宗教に共通してある宗教信念である。またその起源は,組織化された宗教の歴史よりも古いと考えられている。本稿では来世信念と健康の関係を概観し,そのメカニズムについて,愛着の神経基盤および関連分子を重ね合わせた推論を試みる。そこでは,オキシトシンのネガティブな側面の愛着行動における意味,および,愛着の機能(内的作業モデル)を亡き人にまで拡大するという点が主要な論点となっている。