消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
持続携行式腹膜透析中に発生した逆流性食道炎の2例
日野 いづみ田中 文彦浅川 博松岡 美佳桜井 隆弘小井戸 薫雄根岸 道子稲玉 英輔加藤 慎一柴田 博之有泉 雅博鳥居 明戸田 剛太郎鬼沢 信明川村 忠夫
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1993 年 43 巻 p. 123-126

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抄録

 持続携行式腹膜透析(CAPD)の歴史は13年と浅く,その消化器合併症については不明な点が多い。胸やけを主訴とした逆流性食道炎のCAPD患者2症例を経験したので報告する。上部内視鏡検査では,2例とも食道裂孔ヘルニア・バレット食道を合併していないにもかかわらず,高度の逆流性食道炎と診断された。食道内圧測定検査では,下部食道括約筋圧はいずれも正常値であった。よって,逆流性食道炎の原因として,CAPD液の腹腔内注入による腹圧の上昇により,胃液が食道内に逆流して生じたものが考えられた。当院でのCAPD患者の逆流性食道炎発生は32例中2例(6.25%)と高頻度であった。13年間でCAPD患者数は6,000人にまで増加している。従来CAPDに合併した逆流性食道炎の報告はなく,今後CAPD患者の消化器合併症の1つとして逆流性食道炎は注目されるべき重要な疾患と考えられたので報告した。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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