理科教育学研究
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原著論文
中学校理科授業におけるICT活用の有用性の認識がオンライン授業に対する評価に及ぼす影響
―第1学年「水溶液の性質」のオンライン授業実践を通じて―
中西 一雄
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2022 年 63 巻 2 号 p. 345-355

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抄録

本研究は,中学校理科授業において,生徒のICTを活用することに対する有用性の認識が,オンライン授業に対する評価にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにすることで,今後の学校現場におけるオンライン授業の効果的な実施に向けた示唆を得ることを目的としている。そのため,中学校第1学年の生徒を対象に,ICT活用の有用性の認識を測定した後,「粒子」を柱とした内容に位置づく単元におけるオンライン授業の実践を行い,オンライン授業に対する評価を質問紙調査を用いて検討した。ICT活用の有用性の認識を用いた階層クラスタ分析により生徒を類型化した上で,質問紙調査の回答を分析したところ,オンライン授業に対する評価の多くの項目において,ICT活用の有用性の認識が高い生徒のオンライン授業に対する評価が高くなる傾向が示された。また,ICT活用の有用性の認識のうち,特に「学びへの積極性」「他者との比較・共有」がオンライン授業に関する評価に促進的な影響を与えていることが示されたこれらの結果から,今後はオンライン授業を非常時の代替手段のみとして捉えるのではなく,オンライン上での学習を日常的な授業実践において授業デザインに組み込むことが効果的であることが示唆された。

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© 2022 日本理科教育学会
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