内臓脂肪, 皮下脂肪に加え, 第3の脂肪と呼ばれている異所性脂肪が注目されている. インスリン標的臓器に過剰な異所性脂肪が蓄積することにより, サイトカイン産生や細胞内代謝の変化を介して慢性炎症やインスリン抵抗性(脂肪毒性)が惹起され臓器障害に至るのが病態の基盤である. 異所性脂肪を標的とした治療は, 食事療法や運動療法を含めた生活習慣改善指導が中心となるが, それらに抵抗性の場合は薬物療法, 外科療法も考慮される. また, 新たな治療開発を目指したさまざまな分子機構の解明についても研究が進んでいる. 本稿では異所性脂肪の治療を中心に最近の知見も含め概説する.