日本原子力学会 年会・大会予稿集
2010年秋の大会
セッションID: I38
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粒子線治療
腫瘍血管遮断剤AVE8062による陽子線治療の増感に関する基礎研究
*寺川 貴樹石井 慶造山? 浩道松山 成男菊池 洋平秋山 久樹小屋田 寛伊藤 友紀田川 篤志康永 盛欽古本 祥三船木 善仁田代 学和田 成一伊藤 伸彦
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抄録

放射線治療において、陽子線および炭素線はともに線量分布が優れているが、陽子線の生物学的効果は炭素線よりも小さくX線と同程度である。したがって、陽子線治療の増感は、正常組織への影響をX線と同程度にとどめ炭素線に迫る治療効果を得る可能性につながるだけでなく、粒子線治療の普及にも寄与する。我々は陽子線治療の増感を目的として、腫瘍への酸素や栄養素の供給を断つ腫瘍血管遮断剤を併用した陽子線治療のマウス腫瘍モデルによる基礎研究を東北大学CYRICにおいて行った。単回治療実験の結果、単独治療の場合に比べ併用治療では腫瘍増殖抑制の顕著な増加を確認した。さらに、治療後のマウスに1mm以下の超高分解能FDG-PETスキャンを行って治療後の腫瘍の糖代謝を分析した結果、併用治療では腫瘍内糖代謝の低い状態が長期間継続していることが確認され、腫瘍内の広範囲で細胞殺傷効果が誘発されたことが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本原子力学会
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