原子力発電所の広報では、従来、安全対策情報の普及に力を入れてきたが、米国を中心に原子力発電の広報においても、情報の受け手と送り手の相互理解を図るリスクコミュニケーションの考え方を取り入れる動きが出てきている。しかし、これまで、安全対策情報を含めたリスクコミュニケーション研究がなされた事例はない。そこで、リスク、安全対策情報を含めた原子力広報の効果を明らかにする。まとめと今後の課題(1)情報の受け手は、安全対策情報を伝達する姿勢を高く評価している。(2)しかし、安全対策情報を伝達すると、原子力発電に反対の人ほど、リスク情報に対する信頼が低下し、その影響から情報内容全体の評価が低下する。(3)リスク情報の信頼性の確保、さらには情報内容全体の評価を引き下げない安全対策情報の内容および提供方法について検討が望まれる。