日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会50周年記念大会
セッションID: 9-A
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一般発表(ポスター)
日本産菌寄生性子嚢菌HypomycesHypocreaについてIV
*常盤 俊之奥田  徹土居  祥兌
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抄録

核菌類ボタンタケ科に分類されるHypomyces 属およびHypocrea属のうち,チャワンタケを寄主とするHypomyces 属本邦産2種とハラタケ類を寄主とするHypocrea属について新たな知見を得たため発表する. 1) Hypomyces stephanomatis Rogerson & Samuels.: 山梨県東山梨郡大和村田野日川渓谷で採集.寄主上の子実体形成菌糸層はWax white (Munsell 10Y8/2)からGrayish yellow (Munsell 5Y8/2),KOH(-),子嚢胞子は無色,偏紡錘形,中央に隔壁を有し,2細胞性,(8.0-)10.5-12.0(-14.5) × (3.0-)3.5-5.0 µm,平滑.anamorphはStephanoma strigosum Wallroth.本菌は,Humaria hemisphaerica (Wiggris; Fr.) Fuckel.子実体を寄主とし,アナモルフは本邦に分布することが報告されているが,teleomorphは日本新産種である. 2) Hypomyces cervinigenus Rogerson & Simms.: 東京都武蔵村山市東大和公園および野山北公園,八王子市長沼公園で採集.寄主上の子実体形成菌糸層はGrayish brown (Munsell 5YR6/2)からBrownish orange (Munsell 10YR7/6),KOH(-),子嚢胞子は無色,偏紡錘形,無隔壁,(12.0-)13.0-14.5(-17.0) × 3.0-3.5 µm,平滑.本菌はHelvella 属子実体を寄主とし,これまでにアナモルフの報告は認められなかったが,本菌の子嚢胞子の培養に成功し,アナモルフはMycogone cervina Ditm. in Sturmであることが明らかとなり新知見として報告する. 3) Hypocrea sp.: 群馬県利根郡水上町藤原で採集.寄主上の子座はReddish white (Munsell 5R8/2)からGrayish red (Munsell 5R7/4),子嚢殻は,Light brown (Munsell 10YR6/8)からBrownish orange (Munsell 10YR7/6) ,KOH水溶液でBrown (Munsell 10YR4/4) からDark brown (Munsell 5YR3/4) に変色する,子嚢胞子は無色,平滑,中央に隔壁を有し,成熟すると分離する(partspores),部分胞子は亜球形から楕円形,直径3.0-3.5(-5.0) × (2.5-)3.0-3.5 µm,anamorphはGliocladium sp. 本菌はMarasmius属子実体を寄主とする.ハラタケ類を寄主とする本属菌にはHypocrea avellanea Rogerson& Carey.があるが,アナモルフが異なり,未報告種として検討中である.

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© 2006 日本菌学会
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