The Journal of Antibiotics, Series B
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Lincomycin (Lincocin) に関する2, 3の検討
佐藤 肇大石 久岡 秀中沢 進張 南薫野原 俊一張 志明新井 蔵吉近岡 秀次郎
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1965 年 18 巻 2 号 p. 111-116

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抄録

Lincomycin (Lincocin ‘Upjohn’, LCMと略) は, D. J. MASON, A. DIETZ & C. DE BOER, が, Nebraska州Lincoln市の土壌菌,Streptomyces lincolnensis var. lincolnensis nov. sp. から得た新抗生物質で, その抗菌性はグラム陰~陽性球菌, 特に葡菌, 連鎖球菌, 肺炎菌, ナイセリヤ菌属ならびにグラム陰・陽性球菌としてのHemophilus, Clostridium, Corynebacterium等に広く作用し, Macrolide抗生剤にその性状の一部が類似しているが, 今までの報告によると, 本剤とErythromycin (EM), Penicillin G (PC), Streptomycin (SM), Chloramphenicol (CP), Novobiocin (NB), Oleandomycin (OLM), Tetracycline (TC) 間には抗菌性の面で交叉耐性のみられぬ点が指摘されている。
また,in vitro,in vivo両面において本剤に対する諸種細菌類の耐性獲得は緩慢であり, 内服, 筋注, 静注の動物試験において, 非常に毒性の少いことが証明されている。本剤には内服, 注射用 (筋注, 静注可能) があり, EMに比較して内服後の吸収が優秀であることも報告されている。
私等も今回, 本剤を使用しての小児科領域における基礎的, 臨床的検討をおこなつたが, 耐性獲得葡菌を含むグラム陽性球菌類 (溶連菌, 肺炎菌等) に起因する急性感染症が小児科領域において多い関係上, 特に治療効果および副作用の面に重点をおいて観察してみた。

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