The Journal of Antibiotics, Series B
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Leucomycinに関する研究
I. 臨床的研究2. 静注療法
沼尾 欣一
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1957 年 10 巻 2 号 p. 56-62

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抄録

前篇において著者は, 内服用LM (LM塩基の錠剤および懸濁用LM) を使用して, 人体ならびに家兎における血中移行濃度の消長および家兎諸臓器内分布の状態等を検討し, 更にこれら製剤を11種類の小児急性感染症68例に使用した臨床効果について述べた。今回は, 静注用酒石酸LMを使用した各種実験成績について述べる。
静注用LMは, 酒石酸LMと適当な無害な溶解補助剤の乾燥混合物で, 使用に臨んで1バイヤル200mg入りを生理食塩水または20%葡萄糖液にて10~20ccに溶解し, 前膊橈骨静脈から3~4分を要して徐々に静脈内に注入した。
静注用LMの臨床成績の報告は現在のところ非常に少なく, 慈大の上田助教授の内科領域における各種感染症10例についての報告 が代表的なもののようであり, 症例はいずれも重症感染症に入る病型であるが, うち7例にかなりの治療効果がみとめられている。最近, 新大桂内科の吉田等は61才男の慢性胆嚢炎の患者に, 静注用LMを1日400mg, 15日間, 総量6.0g使用し, 臨牀症状の好転, 特に胆汁の炎症性所見の好転がみとめられた症例を報告している 。小児科領域での使用症例は更に少く, 殆んどその報告例をみない。
今回, 新らしく製作された静注用酒石酸LMについて, 小児急性感染症の治療に使用する一方, 人体並びに家兎, マウスを使用しての血中並びに諸臓器中移行状況等について検討してみたので, 以下報告する。

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