1996 年 49 巻 2 号 p. 211-217
抗生物質のマルチチャンバーバック方式キット製剤化による医療上の有用性を調製精度の面から検討した。試験に供したキット製品はプラスチック製バッグを2室に区切り, 1室には主薬であるイミペネム/シラスタチンが他の1室には溶解液である生理食塩水100mlが充填されている。北里大学東病院に勤務する看護婦と薬剤師を対象として従来のガラスバイアル瓶に入ったイミペネム/シラスタチンを通常の溶解調製法である注射器を用いる方法と両頭針を用いる方法との調製精度の研究を行った。注射器法の平均残存率はイミペネム5.58±2.60%, シラスタチン4.08±1.77%であった。両頭針法の平均残存率はイミペネム3.99±2.28%, シラスタチン3.71±2.09%であった。一方, TMBキット法では主薬が充填されている容器がそのまま投与容器になるため元の容器に残存する薬剤量は無いものと考えられ, 注射器法, 両頭針法に比較して調製精度が正確であることが明かとなった。