1992 年 45 巻 10 号 p. 1305-1311
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対するCefotiam (CTM) +Arbekacin (ABK), 及びCefuzonam (CZON) +ABKの抗菌併用効果を検討し, 以下の結論を得た。
1. MRSAに対するCTM+ABK, CZON+ABK各々の組み合せにおける抗菌併用効果は, 共通してABKの臨床的に期待し得る血中濃度としての1MIC濃度存在下においては強い併用効果が認められたが, ABKのsub MIC濃度存在下におけるそれには差がありCTM+ABKは強く, CZON+ABKはやや弱い結果だった。
2. いずれの組み合せによる濃度依存在性もCTM及びCZONには弱く, ABKには強い結果だった。これにより, そこで生じる抗菌併用効果は, ABKの抗菌活性と濃度に依存する度合いが高いことが, すでに報告した他薬剤の組み合せと同様に示唆された。
3. MRSAに対するCTM+ABKの併用は, MRSA単独感染時における有用性が, CZON+ABKの併用は, MRSAにグラム陰性菌の重感染を伴う症例に対する有用性が考えられる。