The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるRokitamycinドライシロップの基礎的・臨床的検討
豊永 義清杉田 守正城 宏輔高橋 孝行渡辺 よし子堀 誠
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1988 年 41 巻 6 号 p. 720-738

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抄録

Rokitamycin (RKM, TMS-19-Q) について基礎的・臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1. 抗菌力
Staphylococcus aureus (Methicillin感性株50株, Methicillin耐性株50株), Haemophilus influenzae18株, Campylobacter jejuni50株, に対し, RKMの抗菌力をJosamycin (JM), Midecamycin (MDM), Erythromycin (EM), Cefaclor (CCL)(又はAmpicillin (ABPC)) と比較検討した。
S. aureusに対する5薬剤はすべて幅広いMIC分布を示したが, RKMが若干優れており, 感受性株に対する各薬剤のMIC80は, RKM 1.56μg/mlに対し JM, MDM, EMは12.5, 12.5, 6.25μg/mlであり, CCLは3.13μg/mlであつた。同様にMethicillin-resistant S. aureusに対しては, 100μg/ml以上の耐性株の出現はMLsではRKM, JM, MDM, EMはそれぞれ18%, 26%, 34%, 48%でありRKMが最も低かつた。感受性ピークもそれぞれ0.78, 0.78, 1.56,>100μg/mlであり, RKMが優れており, EMへの耐性化傾向を明瞭に映していた。CCLは感受性ピークが12.5μg/mlと高いが, 100μg/ml以上の高度耐性株は6%と少なかつた。
H. influenzaeに対しては, RKMは0.78~12.5μg/mlに分布しており,EMより1管程度劣り, CCLとほぼ同様, JM, MDMより2管程度優れた成績を示した。
C. jejuniに対するRKMのMIC分布は0.10~12.5μg/mlと幅広いが, そのMICピークは0.20μg/mlであり, EMとほぼ同様の累積曲線を示し, 他の3剤より2~3管優れていた。
2. 吸収, 排泄RKMドライシロップ剤5mg/kg 2例, 10mg/kg 7例, 15mg/kg 2例, 20mg/kg 1例について検討した。血漿中濃度ピークは投与量依存性を認めず, それぞれ0.16~0.23, 0.29~0.91, 0.35~0.46, 0.53μg/mlであり, 10mg/kg投与量まででは4時間値は測定下限のものが多く, 15mg/kg以上では3例中2例に6時間値を測定でき, 0.07~0.09μg/mlを示していた。6時間までの尿中回収率は0.19~3.31%であつた。
3. 臨床成績
マイコプラズマ肺炎17例, 細菌性肺炎7例, 気管支炎3例 (含む扁桃炎合併1例), 扁桃炎, 咽頭炎13例, 猩紅熱, 溶連菌感染症9例, 百目咳, クラミジア感染症, 腸炎 (クレブシェラ), キャンピロバクター腸炎それぞれ1例の計53例に対する臨床効果は著効37例, 有効11例, やや有効1例, 無効4例で, 有効率90.6%であつた。1日投与量は27.3~40.0mg/kgであり, 1例を除きすべて3回投与であつた。細菌学的には19例に菌の検出を認めたが, そのうち菌の消失をみたものは16例であつた。

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