1986 年 39 巻 11 号 p. 2938-2944
アミノ配糖体系抗生剤は一般にグラム陽性菌からグラム陰性菌に及ぶ各種細菌に対し強い殺菌力を有し, 且つ腹水中には比較的良く移行することが知られている1)。Astromicin (ASTM) を筋注投与した後の腹水中移行も良好であり, 又, 消化管穿孔に伴う腹膜炎では有菌率が高く, 且つ起炎菌は大腸菌を主体とし, 腸内細菌の占める割合が大きいので, ASTMの単独投与で比較的高い臨床効果が得られている2, 3)。
一方, アミノ配糖体系抗生剤の炎症組織への移行は筋注に比べ点滴静注後の方が良好であると報告されており4, 5), ASTMの急性腹膜炎に対する点滴静注法の臨床効果を検討するために「Astromicin点滴静注研究会」を結成した。
本研究は昭和59年11月~昭和61年2月の問にTable1に示す外科5施設及びその関連施設において実施された。