1986 年 39 巻 1 号 p. 265-302
ARCAMONE等によつて発見されたDoxorubicin (Adriamycin, ADM) は強い制癌作用を持つている反面, 心毒性を有する欠点が知られている1, 2)。一方その誘導体である (2R)-4'-O-Tetrahydropyranyladriamycin (THP) にはマウスに移植したL1210やその他のマウス実験腫瘍に対し強い制癌作用のあることが報告され3, 4), 又, 心毒性の弱いことも報告された5)。
そこで, 今回THPの安全性試験の一環として犬に対する急性毒性試験を実施し, 二三の知見を得たので報告する。