The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftizoxime坐剤の臨床的並びに薬物動態的検討
目黒 英典益子 仁藤井 良知篠崎 立彦
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1985 年 38 巻 10 号 p. 2838-2848

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抄録

小児の細菌感染症に対する抗生物質療法は経口あるいは注射 (主として静注) が現在は主体をなしている. 注射剤の有用性は確立されているが, 乳幼児では静注を続けることは患者の苦痛も多く管理上も繁雑であり何らかの改善が望まれるところである. 京都薬品 (株) では抗生物質の直腸内投与に適した基剤 (ウィテプゾール) を用いて住友化学工業 (株) との共同によりまずAmpicillin (ABPC) 坐剤を開発した.小児における臨床試験が行われ, 経口剤に比較して2~3倍高い血中濃度を得ることに成功し, 臨床的にも期待どおりの効果を認めた1~4). 次いで京都薬品 (株) と藤沢薬品工業 (株) の共同により, 新Cephem系 (CEPs) 抗生物質Ceftizoxime (CZX) の坐剤化が行われた (CZX-S). CZXは第5群のCEPsに分類される抗菌力,抗菌範囲, β-Lactamaseに対する安定性共に極めて優れた抗生物質で5), 注射剤はすでに市販され広く使用されている。CZX-Sの実用化がなれば,注射によらない強力な抗生物質として従来の経口剤にない応用分野が開かれる可能性がある。我々はCZX-S研究会の一員として, 小児科領域における本剤の安全性, 有用性及び薬物動態について検討したので報告する。

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